amazonで「不正競争防止法の申し立て」をされた時の対処方法

amazonで「不正競争防止法の申し立て」をされた時の対処方法

不正競争防止法というあまり聞かない法律で販売がストップすることがある。またストップさせることができる。法律の概要を確認しても、非常に意味がわかあり難いため、amazonという市場に限定して、少しだけわかりやすく状況を説明しよう

「不正競争防止法」とは?

「この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 引用:不正競争防止法
とてもとても要約すると、「パクってはいけない」という法律だ。 よくあることとして、A社がデザインした商品Aを、B社が形をすっかり模倣して販売したとしよう。当然A社はご立腹なわけだが、B社は素知らぬ顔だ。しかも意匠権がないことを調査した上での確信犯だったしてこれをどうしようか? という事が不正競争防止法の存在意義だ。もうすでにお分かりかと思うが、最初にデザインして販売したA社が守られ、パクったB社を罰するというのが不正競争防止法だ。

amazonの「不正競争防止法の申し立て」とは?

日本の法律であるから、不正競争防止法で申し立てを行われると、当然amazonはそれに対応せざるを得ない。その場合、該当商品の販売停止から、ASINの削除までの対応が行われる事になる。

amazonでは不正競争防止法をどのように立証するのか?

amazonに限らないが、不正競争防止法は立証が非常に難しい法律だ。意匠権などであれば権利として形を持っているため即座に判断できるが、不正競争防止法は形のない法律で、かつ誰がオリジナルであるかを立証することも困難なためだ。 しかし、申し立てをするためにはある程度根拠は必須で、少なくとも
  • いつデザインされたのか?
  • 誰がデザインしたのか?
  • デザインのオリジナルデータはあるか?
  • 販売が世界初である根拠はあるか?
などの根拠が求められる。実際に法廷でそれが認められるかどうかはやってみなければわからないが、少なくとも「当事者で解決してください」と言いたくなる程度の根拠は必要だ。なぜならば根拠なしで受け入れれば、今度はamazonが訴訟される立場になるからだ。

不正競争防止法で手当たり次第申し立てればよくない?

これは非常にオススメしない。訴えを起こすということは、同時に訴えられるというリスクも背負っている。完全無欠のオリジナルで、実際に訴訟しても負けないという自信と、弁護士の確約があれば、当然の権利なので不正競争防止法で申し立てても問題なかろうが、もしもデッドコピーを取り扱っていてそれをした場合。メーカーの反撃は想像を絶する破壊力となるだろう。 想像してみてほしい。自社でデザインして、自社でCADを作り、金型に投資をして、やっと販売にこぎつけたオリジナルの製品を、デッドコピー側の人間に逆に申し立てられamazonでの販売がストップした場合。あなたはこの「怒り」の矛先を一身に受け止める事になる。

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この法律にあまり詳しくないのであれば「私の製品は大丈夫」とタカをくくらないほうがいい。「仕入れ」が発生している段階で、それはあなたがデザインしていない事を示している。つまり「仕入れ」が発生している製品は、不正競争防止法に違反している可能性が0ではない。特に淘宝や義烏などのコピー品が多い市場での仕入れは気をつけよう。

amazonで「不正競争防止法の申し立て」を行う

これは難易度としては高くない。先述の通り
  • いつデザインされたのか?
  • 誰がデザインしたのか?
  • デザインのオリジナルデータはあるか?
  • 販売が世界初である根拠はあるか?
などの情報を集め、適切な形で申告すれば対応可能である。メーカーの立場としては、模倣品はあらゆる手段で守っていく必要がある。その為の法律が、商標権、意匠権、特許権などの法律だ。
知的財産にはいろいろな種類のものがあります。例えば、新機能搭載のロボットやその組み立て方法などのように独創的な新技術は「発明」と呼ばれます。日用品の改良などのちょっとした発明は「考案」と呼ばれます。工業製品のデザインは「意匠」と呼ばれます。商品の名前などは「商標」と呼ばれます。音楽や映画、小説・絵画などは著作物と呼ばれます。 これらの知的財産は「知的財産に関する法律」で守られています。発明は特許法で「特許権」として、考案は、実用新案法で「実用新案権」として、商標は商標法で「商標権」として、著作物は著作権法で「著作権」としてそれぞれ守られています。 このうち、特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つを産業財産権といい、産業の発展を目的とした権利として、特許庁で扱っています。著作権は文化の発展を目的とする権利で文化庁で扱っています。 参考 : いろいろな知的財産 (現在はページが削除されたようです)
不正競争防止法では、これらで守られない事案に対して、メーカーサイドに立って守ってくれる法律である。

amazonで「不正競争防止法の申し立て」をされた!

二つのケースが考えられる

デッドコピーの製品を扱ってしまっていた

調査した結果、どうやら自社で取り扱っている製品がデッドコピーの場合。これは「認めたくない」という感情が心を征服するとは思うが、被害が広がる前に潔く撤退するのが良いだろう。敗戦処理は利益を守るために重要だ。 不正競争防止法では、販売期間中にどの程度の販売を行なっているのかを請求する法的な権利がある。従って本格的に法廷闘争になった場合、それらを遡って調査し、販売台数に応じた損害賠償を請求されることになる。その為にわざと泳がせておくという方法もあるので、今は良かったとしても注意してほしい。

全く不当な申し立てであった

メーカーは自社であり、デッドコピー側の販売者に申し立てをされた場合。これは徹底抗戦の構えが必要だろう。まず必要なのは状況をよく理解してくれて、かつ攻めの姿勢の弁護士である。 その商品の売上規模にもよるが、大きければ大きいほど戦いは容易だ。同時に売上への被害は甚大だが。。。
  • amazonの担当者
  • テクニカルサポート
  • ブランドサポート
  • アカウントスペシャリスト
と、複数のチャネルから、理路整然と、第三者がわかる様に証拠をきちんと揃えて対応しよう。amazonの中だけでの販売ではなく、楽天などのその他のモールや自社サイト、ソーシャルメディアやマスメディアでの露出が多ければ多いほど当然有利になるだろう。 いつかもしかしたら、こういった嫌がらせもあることを視野に入れながら日頃のマーケティング活動を行なってほしい。最善の方法は、そういったプロダクトが蔓延する市場には参入しないこと、そして意匠権を適切に取得しておくことだ。