ほとんどのWEBデザイナーは、たいして仕事しません。というとかなり語弊がありますが、ネット通販系の商品ページを製作する業者さんで、まともに仕事する人って少ないです。そもそもネット通販系の事業者がデザインわかってないから、デザイナーだって、クライアントさんがわからにような細かいところにこだわる必要がないんですよね。そのためにわかっておいた方が良いポイントをご紹介。
デザインとは何か?
設計という意味のデザイン
「デザイン(Design)」というのは「設計」という意味です。つまりデザイナーというのは、設計士です。実現する「機能」を「設計」するのがデザインなので、お絵描きはデザインじゃありません。
「目的」を明確にした上で「機能」を設計するのがデザイン
全ての色、フォント、構成に意味がある必要があります。逆に、意味が無い場合は「お絵描き」です。どんな機能を実装したいのかを理解する為には、そもそもの目的を明確に理解する必要があります。目的を明確にした上で、目的を達成できる、構成にデザインしていく必要があります。
目的が明確でないとデザインが出来ない
機能を満たす為の実装がデザインですから、目的がわかっていないと、デザインではなく、お絵描きです。「そんなの当たり前」と思っていらっしゃる優秀なデザイナーさんなら苦労はしないんですが、WEB業界のデザイナーさんって、結構レベルが低いと思います。「目的」をヒアリングするデザイナーなんて会った事ありません。少なくともSOHOにはいないでしょう。いたら奇跡。絶対手放さない。
見た目と機能性は両立してデザインできるのか?
見た目が良いか悪いかというのは、見た人にしかわかりません。自分自身が良いと思っても、その商品を買うお客さんは、良いとは思わない可能性があります。目的を達成する為に必要な要素を全て揃えると、必然的に「良い見た目」になります。WEBサイトは見た目が命です。機能が高ければ見た目は良いです。
コスパ良く上手にデザインする方法
パクるのは本当は難しい
なんちゃってデザイナーは、お手本を忠実にパクるのが一番です。丁寧にパクる事が大事です。パクる事をバカにしてはいけません。パクる精度が悪いと、パクったと言われます。精度が悪いという事は、「劣化版」と言う事です。劣化版を制作する事が「パクる」事の本懐ではありません。パクる事は本当は難しいのです。
「パクる」=「モデリング」ということ
「パクる」という言い方をするから悪い訳なんですが、丁寧な言い方をすると「モデリング」と言う事になります。「守・破・離」という考え方に代表されるように、そもそも成功している事例を忠実にモデリングする事は、大昔から大切とされており、模倣する事で自身の能力が磨かれます。上手に模倣する事が出来ないという事は、自身のやり方(成功しないやり方)を崩す事が出来ない、という事に他なりませんので、成功のステップを踏む事が出来ません。
上手にパクるには「構造化」する
パクるのにも技術が必要です。丁寧にモデリングするためには、それがどうやって出来上がっているか?と言う事を、本当の意味で理解する必要があります。その為に必要なのが「構造化」です。構造化が出来るようになると、なんとくだった考え方から、確信をもった考え方をするようになれます。10回やって10回同じ結果が返ってくるようになります。
「その商品を買う人が誰」なのかを明確にする
例えば女性がターゲットであれば、女性が好むカラーを選択するべきですし、男性がターゲットであれば、男性が好むカラーにするべきです。赤いボタンあら反応が良いとか、青いボタンなら反応が良いとか、カラーで決まっている訳ではなく、その商品を買う顧客属性にマッチしているかどうかが基準になります。まずは「誰が買うか」が大切です。
属性の顧客がよく触れているものと同調させる
人は、接触した回数が多いものに「安心感」や「親近感」等の感情を覚えるようになっています。単純接触回数が多いものほど「好き」になります。逆に、好きになってほしい時は、単純接触回数を増やす事で、意図的にそういった感情を創り出す事が出来ます。サイトのデザインを、顧客が良く触れているものと同じデザインにする事で、サイトの信頼性を上げる事が出来るようになります。
構造化する為の具体的な方法
構造化して自社商品のデザインに落とし込むまでの手順
- 参考になるデザインを探す
- 参考デザインを構造化する
- 自社商品の情報を落とし込む
自社商品のデザインに落とし込むまでには、参考資料を探す、構造化する、落としこむ、の3ステップが必要です。参考になるデザインを探す事に一番時間をかけ、情報を落とし込む(実際の制作)には、一番時間をかけてはいけません。ほとんどの場合、①に時間をかけず、③に時間をかけますが、この順序を逆にすると「絶対」に良いものは出来上がりません。
サンプルになるデザインを探す
たとえば、ランディングページのファーストビューを作成する場合は、参考になるならないを別にして、サンプルとなり得るデザインを、とにかく大量に収集します。このステップでは、大量に収集する事が必要なだけなので、好き嫌いでえり好みしてはいけません。大量に集めたデザインの中から、1つを探し出す作業が大切なのです。1/100を探すために、99を捨てる作業が必要です。ちなみに、いつも参考になるなぁと思うデザインは、化粧品系の商品を扱っているサイトです。売上規模が大きいだけに洗練されています。
サンプルのデザインを構造化して「パターン」を作る
さんざん集めて、さんざん選んだ中の一つですから、そのデザインは最高なんでしょう。そのデザインを丁寧に構造化します。構造化とはパターンを探す事です。構造化が終わると「パターン」が出来上がります。すっかり真似したい場合は、それぞれのパターンで使っている「フォント」や「カラー」も性格に模倣する必要があります。フォントには名前があり、カラーには番号があります。
参考資料
構造化した「パターン」
「パターン」に自社商品を落としこむ
構造化した「パターン」にあとは自社の商品を落とし込んでいくだけです。自社の商品の伝えたい事を「パターン」に落とし込んでいきましょう。
構造化する時に絶対にやってはいけない事
構造化する時点では、自社商品の事は全無視でやった方がいいです。自社で保持している「使いたい写真」や「使いたい素材」の事は「全無視」してください。構造化する事に集中する必要があります。
フォントやカラーまで真似しなくて良いんじゃないか?という意見は多いです。が、だからダメなんですね。フォントとカラーに集中する必要があります。フォントの持つ力は強力です。出来損ないデザイナーが出来損ないなのは、フォントの力を理解していないからです。WEBを構成する要素は
「フォント」「カラー」「サイズ」の3要素だけです。この3要素を全て真似すれば、全く同じ質感の、全く別のものが出来上がります。
まとめ
デザイナーというのは、本当にピンキリで、SOHOでいつも新規顧客を探しているような方は、本当にスキル不足だと思っています。構造化することは基本的な事で、問題は構造化した後に、どんなフォントや色を詰め込めば効果が最大になるか?とか、どんなフォントだったら、そのイメージを表現できるか?とかそういう事だと思ってます。その引き出しの多さが「経験」なので、「デザイナー」として、仕事を依頼する価値があると思ってます。でもまぁそんな人とはあんまり会えないですし、毎回新しい商品開発をする訳でもないので、一回構造化してしまうと、新しい事は必要なかったりするんですよね。そうすると、基本的な事を知っているスタッフが、なんちゃってデザイナーする方が、安いし効率的です。