『ニーズ』『ウォンツ』『ベネフィット』とは?
『ニーズ』『ウォンツ』『ベネフィット』とは?
マーケティングを成功させるために、まずは基本的な3つの概念を理解しましょう。
マーケティングは、「顧客が抱える問題や欲求(=ニーズ)」を把握し、「それを解決する具体的な商品やサービスへの欲求(=ウォンツ)」に変換し、「顧客が得られるメリットや価値(=ベネフィット)」を明確に伝えるプロセスです。
これらを順を追って説明します。
① ニーズ(Needs)とは何か?
ニーズとは、顧客が抱える根本的な「課題」「不足感」「欲求」です。
ニーズは大きく以下の2種類に分けられます。
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顕在的ニーズ(自覚している欲求)
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顧客自身が明確に意識している課題や欲求。
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例:「靴が汚れている」「靴を簡単にきれいにしたい」
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潜在的ニーズ(まだ自覚していない欲求)
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顧客自身がはっきり自覚しておらず、隠れている欲求。
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例:「靴洗いは面倒だと思って諦めているが、簡単で楽しい方法があるなら試してみたい」
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マーケティングの最初のステップは、このニーズを正しく見つけ出し、深掘りすることから始まります。
② ウォンツ(Wants)とは何か?
ウォンツとは、ニーズを満たすための具体的な商品やサービスへの欲求です。
顧客がニーズを自覚し、「この商品やサービスが欲しい!」と明確に感じる状態を指します。
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ニーズ:「靴を簡単にきれいにしたい」
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ウォンツ:「ROSY LILYのシューズシャンプーならすすぎ不要で、香りも良いから欲しい!」
ニーズが明確に商品やサービスへと転換された状態がウォンツです。

マーケターは、これらのベネフィットの中から、ターゲットの顧客がもっとも響くものを選び、明確に伝えることが重要です。
③ ベネフィット(Benefit)とは何か?
ベネフィットとは、顧客が商品やサービスを利用することによって得られるメリットや価値のことです。
ベネフィットは、以下の5つの種類に分類できます。
④ 『ニーズ』『ウォンツ』『ベネフィット』のまとめ
これら『ニーズ』『ウォンツ』『ベネフィット』は連動しています。
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ニーズを正しく把握し、
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ニーズを明確な商品やサービスへの欲求=ウォンツへと変換し、
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顧客にとって価値のあるベネフィットを提示する
この流れを設計し、適切に伝えることが、マーケティング施策の成功につながります。
ニーズを理解する
マーケティングは『お客様のニーズ』から始まります。しかし、ニーズという言葉はシンプルでありながら、正しく理解するのは簡単ではありません。この章では、ニーズを顕在的ニーズと潜在的ニーズに分け、実践的にその違いを理解し、ニーズを深く掘り下げる方法を説明します。
ニーズには2種類ある
顧客のニーズを把握するために、まず重要なのはニーズが「顕在的ニーズ」と「潜在的ニーズ」の2種類に分けられることを理解することです。
① 顕在的ニーズとは?
顕在的ニーズとは、お客様自身が明確に意識している欲求や課題のことです。
顕在的ニーズを抱えているお客様は、自分の課題を言葉にできているため、解決策を積極的に探しています。
例(ROSY LILYの場合):
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「靴が汚れているから、手軽に洗える洗剤が欲しい」
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「面倒な靴洗いを、もっと簡単にしたい」
これらはすでに課題が明確で、解決方法を自発的に探している状態です。
顕在的ニーズの特徴:
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お客様自身が言語化できている
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明確な問題意識がある
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解決策への意識が高い(商品やサービスを探している)
② 潜在的ニーズとは?
潜在的ニーズとは、お客様自身がまだ明確に自覚していない、隠れた欲求や課題のことです。
お客様は不便や不満を感じつつも、それが改善できるとは思っていない場合があります。マーケターの役割はこの潜在的ニーズを掘り起こし、気づきを与えることにあります。
例(ROSY LILYの場合):
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「靴洗いは面倒だと思い込み、諦めている」
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「靴が少し汚れていても我慢しているが、本当は気持ちよく洗って履きたい」
これらの課題は、まだお客様自身が明確に課題として意識していないため、具体的な解決策に気づいていない状態です。
潜在的ニーズの特徴:
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お客様自身が自覚していない、または曖昧にしか感じていない
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課題を解決できるとは考えていないため、積極的に解決策を探していない
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企業側が積極的に掘り起こし、気づきを与える必要がある
ニーズを見つけるための方法(実践的アプローチ)
ニーズを正しく見つけることはマーケティング成功の第一歩です。以下に示す具体的な方法を用いて、顧客のニーズを深掘りしましょう。
顕在的ニーズの発見方法
顕在的ニーズは比較的見つけやすく、お客様自身が明確な言葉で表現します。
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顧客からのレビューやフィードバックを注意深く読む
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顧客アンケートを実施し、具体的な不満や希望を収集する
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SNSなどでの顧客の発言や質問を観察する
潜在的ニーズの発見方法
潜在的ニーズの発見は、顕在的ニーズよりも難易度が高く、積極的な調査や洞察が必要です。
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お客様の行動を観察し、「なぜそれを選んだのか?」を深掘りする
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インタビューで、お客様自身が気づいていない課題を掘り下げる
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顧客が抱えている課題の本質を考え、「もっと簡単に」「もっと快適に」できないかを検討する
ROSY LILYの具体例:
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お客様が「靴を洗う」という行為を面倒だと感じている場合、単に「洗うのが面倒」という表面的な課題だけでなく、「そもそも靴洗いは大変だ」という思い込みに対する意識変革まで視野に入れる。
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「すすぎ不要」という特徴は、「靴洗いが面倒である」という潜在的ニーズを掘り起こし、解決する重要な訴求ポイントとなります。
ニーズの理解を深めるメリット
ニーズを正しく深掘りすることで、顧客が本当に求めるものが見えてきます。
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顧客に響くメッセージが作れる
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より効果的なプロモーションが設計できる
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競合との差別化ポイントが明確になる
ニーズを明確に捉えることができれば、「ウォンツ」への変換がスムーズになり、結果的にお客様の心を動かすマーケティングが実現できるようになります。
ウォンツを生み出す
ニーズを理解した後は、それを「具体的な商品やサービスへの欲求=ウォンツ」に変換することが重要です。お客様のニーズは、放っておいても自然にウォンツへと進化するわけではありません。この章では、ウォンツを効果的に生み出す方法を順を追って説明します。
ウォンツとは何か?
まず改めて、「ウォンツ」とは何かを整理しましょう。
ウォンツ(Wants)とは、顧客が抱えているニーズ(課題や欲求)を満たすための、特定の商品やサービスへの明確な欲求です。
つまり、顧客が「自分にはこれが必要だ」「これが欲しい!」と具体的な製品やサービスを選択肢として認識し、欲しがる状態を指します。
ニーズからウォンツへ変わる瞬間
ニーズがウォンツへと進化するためには、次のようなきっかけが必要です。
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顧客が自分のニーズに合った解決策を知る
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その解決策が魅力的だと感じる(欲しくなる)
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自分の生活がより良くなるイメージを持つ
ROSY LILYの例:
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ニーズ段階:「靴が汚れているが、洗うのは面倒」
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ウォンツ段階:「ROSY LILYのシューズシャンプーならすすぎ不要で簡単に靴が洗えるし、良い香りだから使いたい!」
このように、具体的な製品の特徴を知ることで、顧客の欲求は具体的に「欲しい」というウォンツに変化します。
ウォンツを生み出すための手順(具体的な方法)
ウォンツを意識的に生み出すためには、次の3つのステップを踏むことが効果的です。
STEP① ニーズを明確にする
まず、顧客が抱えている課題(ニーズ)を言葉にしましょう。
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顧客が何に困っているのか?
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顧客が何を望んでいるのか?
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その問題を解決すると顧客の生活はどのように良くなるか?
(例:靴が汚れている/靴洗いは面倒/きれいな靴を履きたい)
STEP② ニーズを解決できる具体的な特徴(スペック)を提示する
次に、その課題を解決する具体的な製品やサービスの特長を提示します。
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ニーズ:「靴洗いが面倒」
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スペック提示:「ROSY LILYは泡タイプで濯ぎ不要」
顧客はこの段階で、自分の課題を解決できる製品が存在することを知ります。
STEP③ 具体的なイメージ(ベネフィット)を伝える
最後に、製品を使った後の理想的な未来(ベネフィット)を具体的にイメージさせます。
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「泡タイプでサッと拭くだけで靴がキレイに」
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「時間も手間もかからないから、毎日手軽に使える」
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「良い香りで、靴洗いが楽しい習慣になる」
この段階で、顧客のニーズは「ROSY LILYが欲しい!」というウォンツへ変わります。
ウォンツを生み出すポイント
ウォンツを効果的に生み出すには、次のポイントを意識しましょう。
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シンプルで明快なメッセージで伝える
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顧客に複雑な説明は必要ありません。顧客がすぐに理解できる言葉で「何がどう良いのか」を明確に伝えることが重要です。
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具体的で魅力的なベネフィットを強調する
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商品の特徴を述べるだけではなく、「顧客の生活がどのように良くなるか」「どんな気持ちになるか」という視点で伝えましょう。
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感情に訴える要素を取り入れる
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「面倒がなくなる」「気分が明るくなる」「楽しくなる」などの心理的な要素を入れることで、顧客はより強く欲求を感じます。
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ウォンツを生み出すことのメリット
ウォンツを明確に生み出すことができれば、マーケティングにおいて次のようなメリットが得られます。
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商品やサービスが顧客に選ばれやすくなる
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価格競争に巻き込まれず、価値で選ばれるブランドになる
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顧客が主体的に商品を欲しがる状態を作れる(顧客の方から探してくれる)
ウォンツを生み出すとは?
マーケティングの重要なポイントは、単にニーズを見つけるだけでなく、ニーズを「ウォンツ(具体的な欲求)」へと変換することです。
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ニーズを明確にし、
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顧客の課題を解決する特徴を示し、
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理想的な未来のイメージを具体的に描くことが大切です。
シンプルで魅力的なメッセージを顧客に届けることで、ウォンツを効果的に生み出し、お客様が自ら求めるブランドへと成長することができます。
ベネフィットを伝える
ここまでで「ニーズを把握し、それをウォンツに変換する方法」までを学びました。
次に重要なのは、お客様が感じる『ベネフィット』を効果的に伝えることです。
お客様は商品そのものを購入しているのではなく、「その商品を利用することで得られる価値(ベネフィット)」を購入しています。
この章では、ベネフィットの種類と、それらを実際にどのように伝えるのかを具体的に説明します。
ベネフィットとは何か?
ベネフィットとは、顧客が製品やサービスを通じて得られる具体的なメリットや価値です。
つまり、商品そのもの(スペック)ではなく、それを使った結果として生まれるポジティブな変化や体験を指します。
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スペック:「泡タイプで濯ぎ不要」
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ベネフィット:「簡単に靴が綺麗になり、時間や手間が節約できる」
ベネフィットを的確に伝えることは、顧客の心を動かし、購買行動に繋がります。
ベネフィットの5つの種類
ベネフィットは次の5種類に分類できます。顧客にとって最も響くベネフィットを理解しましょう。
ベネフィットを伝える3つのポイント(実践方法)
ベネフィットをお客様に伝える際には、以下の3つのポイントを意識すると効果的です。
① シンプルで明確な表現で伝える
複雑な言葉や抽象的な表現は避けましょう。
一瞬で伝わるようなシンプルで分かりやすい言葉を使います。
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NG:「ROSY LILYは最新技術により利便性が向上しました」
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OK:「すすぎ不要だから、手軽に靴が洗える!」
② 顧客の生活に根差したイメージを具体的に示す
顧客が実際にその製品を使っているシーンや、その後の生活を具体的にイメージできるように伝えます。
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「ROSY LILYを使えば、忙しい朝でもサッと汚れを拭き取れる」
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「香りの良さで、靴洗いの時間がちょっとした楽しみになる」
③ 感情に訴える言葉を意識的に使う
感情や心理に働きかける言葉を使うことで、製品への欲求がさらに強くなります。
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「足元が綺麗になると、気分まで明るくなります」
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「お気に入りの靴がいつでも綺麗だと、自信を持って外出できる」
ベネフィットを効果的に伝えるメリット
ベネフィットを的確に伝えることには、以下のようなメリットがあります。
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お客様が商品を欲しいと思う気持ちが高まる
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商品の価値が明確に伝わり、競合との差別化が可能になる
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長期的にファン化しやすくなり、リピート購入が促進される
ベネフィットを伝えるとは?
ベネフィットを伝えることは、マーケティング活動において非常に重要です。
顧客は商品そのものではなく、その商品を通じて得られる価値を買っています。
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5つのベネフィットを理解し、
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顧客に響くベネフィットを明確に選び、
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シンプルで具体的、感情的な言葉を使って伝える
こうしたポイントを押さえることで、お客様の心に強く響き、商品やブランドを好きになってもらうことができます
