WICAD Step 2|Workflow:業務フローの設計と可視化

■ なぜWorkflow(業務の流れ)を“構造として描く”必要があるのか?

意図(Intent)が共有されたとしても、
次に必要なのは、「何を・どの順番で・どのように」実行するのかという行動の流れの設計=Workflowです。

業務が曖昧になる主な理由の一つは、
フローが“頭の中にしか存在しない”ことです。

こうした前提は属人化を生み、再現性を失わせます。




✅ Workflowの目的とは何か?

Workflowは、「任せる」から「動く」への翻訳装置です。




■ Workflow作成のプロセス(原則)

1. 粒度を揃える


2. 順序と条件を明示する


3. 判断基準と成果物を明記する




🎯 Workflow設計の2つの役割:「設計」と「描画」は別物


 


✅ 人材タイプ別:Workflowの渡し方



🧠 フローは“育成”にも“引き継ぎ”にもなる




✅ Workflowは、意図の“再現可能な翻訳”である

意図が伝わったあと、
行動の“順序”と“基準”を構造として渡すことで、
初めて「任せる」が機能します。

Workflowはそのための設計図であり、
相手の成熟度に合わせて設計・描画の範囲を調整することが、設計者であるマネージャーの役割です。

 

 

ワークフローの作成方法


ワークフローというのは、作業の手順をフローチャート の形式で表現したものです。時事系列、判断基準、責任の所在、開始基準と終了基準を明確にできます。有料のツールもありますが、無料ツールでも作り方さえ正しければしっかりと機能します。ワークフローの一般的な説明は「知っておきたい!フローチャートを書くときの4つの基本ルール」を読んでください。



基本的なルール

 

ツールは無料のdraw.ioを利用します。ワークフローを作成しやすいように、ワークフローのテンプレートを用意していますので、コピーして利用してください。




Step .1 はじめにカラムを作る

はじめに、作業名をつけ、カラムに担当者名をつけていきます。カラムとは表の縦方向に並ぶ列のことです。ワークフローでは責任の所在を明確にすることが目的となるので、役職名か、個人名を入力して責任の所在を明確にします。




Step .2 開始条件と完了条件を定義する

次に、緑の角丸で開始条件と終了条件を定義します。いつどのタイミングで作業が開始され、誰が何をすれば完了と判断できるのか?を定義します。




Step .3 行動内容を書き出す

青い四角のボックスに行動内容を書き出していきます。書き出せるだけ書き出してしまい、並べ替えできる場合は並べてしまいます。




Step .4 判断基準を書き出す

作業内容を書き出すと、作業の間に発生する分岐点が見えてきます。分岐は菱形で表します。分岐は、どういう理由で分岐するのか?という判断基準があります。難しいですが、この判断基準を言語化して記入します。判断基準はYes or Noで分岐できるようにします。





Step .5 基本の流れは上から下、左から 右

フローチャート は、基本的に上から下へ、左から右へ流れていき、その流れを可視化することが目的です。逆行する場合など、流れがわかりにくくなる場合は矢印でどこに流れるのかを指定します。判断基準はYesは下、Noは下以外とルールを決めるとまとまりやすくなります。




ポイント




❗最初に一つ、はっきりと言っておきます。

一回やって、一回説明を読んで、そのまますぐ「完璧なワークフローが作れる」なんてことは、ありません。

 

いかに言葉の定義が難しいかを再確認するのがこの作業です。

 

 

❓うまくいかない原因の多くは、こんなものです:

 

 

✅ でも、それでいいんです。

これはツールの話でも、技術の話でもありません。
これは**「考える力を鍛えるトレーニング」**です。

例えるなら:




🌱 一度つくってみて、うまくいかなかった

→ その“うまくいかなかったこと”こそが、
「考えるべきポイント」そのものなんです。

あなたの頭の中にあった「なんとなくやっていたこと」を、
構造として取り出すプロセスに挑んでいるのだから、最初からうまくいくわけがない。




🗣️ 最後に一言。

ワークフロー設計は、挫折してからが本番です。

だから、うまくいかなくても落ち込まないでください。
それは、あなたが“考えようとしている証拠”です。

そして、自分の仕事を“言葉と構造で人に渡せる”人になりましょう。
私たちは、それを「設計者」と呼びます。



この作業が終わったら、次はWICAD Step 3|Consensus:合意形成で業務の“共通言語”を持つ の章に進みましょう。