第3章:価値の見つけ方・磨き方・届け方
── “感情の変化”をどう企画・設計・伝えるか
■ ブランドマネージャーは、価値の「編集者」である
ブランドマネージャーの仕事は、“価値を生み出す”ことではありません。
顧客の中にすでに眠っている「欲求」や「感情のスイッチ」を、
見つけ、磨き、正しく届けることです。
つまり、価値は創造するものというより、**“発見し、調律するもの”**に近い。
あなたは価値の「創作者」ではなく、「編集者」なのです。
■ STEP1:価値を“見つける”──観察と思考の起点
価値は顧客の中にあります。
大切なのは、「なぜその商品が選ばれているのか」を深掘ること。
● 観察のポイント
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購入者は、どんな状態だったのか?(悩み、葛藤、願望)
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使ったあと、どんな感情になっていたのか?
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なぜそれが“自分にとっての正解”だと感じたのか?
● ヒントになる情報源
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レビュー(感情ワードに注目:「うれしい」「救われた」「ホッとした」)
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SNSの投稿(写真や使い方から“文脈”を読み取る)
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リピーターの声(継続理由に本質が出る)
✅ 目的:スペックではなく、「どんな感情を得たか」を抽出すること
■ STEP2:価値を“磨く”──ブランドとしての一貫性へ
見つけた価値を、より“伝わる・感じられる”ように調整する工程です。
● 価値を磨く方法
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体験を整える
→ 開封・香り・触感・デザイン…五感すべてで「感情の変化」を支援する -
言葉を磨く
→ コピー、パッケージ、商品説明のトーンが“一貫して同じ気持ち”に誘導しているか? -
ノイズを削ぐ
→ 余計な機能・説明・装飾で“伝えたい価値”がブレていないか?
✅ 目的:「ああ、これはまさに私のためのものだ」と思わせる精度に引き上げる
■ STEP3:価値を“届ける”──感情に届く表現へ
価値は「届けて、初めて」意味を持ちます。
顧客の心に届かなければ、どれほど優れた設計も無意味です。
● 届け方の設計
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どのタイミングで伝えるか?(感情が動く瞬間に出す)
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どんな媒体で伝えるか?(五感に響くチャンネルを選ぶ)
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誰の声で伝えるか?(ブランドとしての人格を明確に)
● 「伝える」のではなく「感じてもらう」
コピーや動画などは、「説得」ではなく「感情のトリガー」になるべきです。
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“共感”で心を開かせ
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“感覚”で印象づけ
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“行動”に自然とつなげる
■ まとめ:価値を届けるプロセスは“設計”である
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見つける:顧客の声の中から感情の変化を抽出する
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磨く:感情に一貫性を持たせて、ブランドとして研ぎ澄ます
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届ける:心に刺さる言葉・体験・タイミングで表現する
この一連の設計こそが、ブランドの“価値提供力”を決めるのです。
次章では、いよいよ集大成として、
「あなたにとって“価値”とは何か?」を自分の言葉で定義する時間です。