DCCの構造について

デザイナー/専門職向けのキャリアステップについて

キャリアコンパスでは、一般的な管理職へのキャリアステップだけではなく、専門職の人材が適切に能力を磨ける環境を作るために定義されました。デザイナーに対して管理職とは異なる等級制度を設けた理由は、専門性とリーダーシップが必ずしも一致しない職能特性にあります。

 

 

デザイナーに異なる等級制度を設けた理由


1. 専門職としての深いスキルが評価されるべき職種だから

デザイナーは、ビジネスにおける視覚表現の要となる役割を担っており、高度な専門技術・感性・経験が必要です。
しかし、専門スキルの高さが管理職としての能力(人・組織のマネジメント)と必ずしも結びつかないのが実情です。
そのため、「人を束ねる」ことではなく、「専門力で価値を生む」キャリアも正当に評価する必要があります。



2. 管理職を望まないプロフェッショナルも多いため

優秀なデザイナーの中には、「プレイヤーとして創作に集中したい」「マネジメントには関心がない」という志向の人も少なくありません。
従来の等級制度では、管理職に昇進しなければ評価されにくく、専門職が成長しづらい構造になっていました。
そこで、マネジメントを選ばなくても、昇給・昇格・影響力が高まるキャリアパスを明確に用意しています。



3. リーダーシップと専門性を分けて評価したい

等級制度を「Execution型(専門スキル軸)」と「Leadership型(マネジメント軸)」に分けたことで、


のどちらも正しく評価され、「得意な方向に進みながらキャリアを築ける」制度設計が可能になりました。


この制度は、「プレイヤーとして活躍し続けたい人」「チームを率いてみたい人」双方が活躍できる公平な評価制度を実現するための仕組みです。

 

 

スキル定義について

DCCは2つの大分類と、9つの中分類で構成されており、スキルや思考の幅広さをカバーしています。すべての能力を5段階で定義し、成長段階を言語化できるようにしています。

 

 

戦略的スキルは、組織を運営していく上で不可欠な能力を定義しており、マネージャー層以上では必須の能力を定義しています。これはDCC以外の他の職種のキャリアコンパスでも共通のスキルとなります。重要なスキルのため加点要素は施策的スキルの2倍です。


DCCは管理職とは明確に異なりますが、デザインの現場においては、ディレクターも必ず必要になります。これはチームをまとめ上げるスキルです。

 

 

 

施策的スキルは、職種に応じた専門性の高いスキルを6つのカテゴリーに分解し、さらにそれを5つに小分類に分解した合計30のスキルから構成されています。ECのデザイナーに求められるスキルはWEB、DTP、動画など多岐にわたります。これらを複合して制作できるクリエイターが求められます。

 

 

 

テンプレートの使い方

Step 1. 基本情報の記入

記入日、名前、現在の等級、を初めに記入し、次回目指すべき等級も入力してください。

 

 

Step 2. 自己評価の記入

自己評価を5段階評価の評価軸を参考に記入してください。各スキルに応じた評価の定義は、「小分類測定段階の定義」のシートに記載されています。

 

 

 

Step 3. 具体的な実績・行動を記入

自己評価に基づき、具体的な実績、行動、成果を詳細に書き出し、必要であれば実績を証明する資料を作成してリンクしてください。


このステップは非常に重要です。これがないと、自己評価は「感覚ベース」「自己イメージ」になりがちで、上長との認識のズレを助長する温床にもなりかねません。書くプロセス自体が、自分の強みや成長ポイントを言語化する訓練になります。

 → 評価はなぜ「事実」に基づくべきか?

 

 

 

Step 4. レビューし上長評価の記入

上長は自己評価、具体的な実績に基づき、上長評価を入力します。

 

 

Step 5. 面談を行い合意評価を決定する

ギャップを確認しつつ、最終的に両者で合意した合意評価を決定入力します。点数がグラフに反映され能力値が数値化されます。

 

 

 

 

評価プロセスのステップ


MCCでは、自己評価→上長評価→合意ステップの順に進めます。これは単に点数をつけるだけでなく、対話を通じて納得と成長につなげるプロセスです。




 

 

運用上の注意点

制度を正しく運用するには、数字だけにとらわれず、コメントや文脈を丁寧に扱うことが大切です。DCCはあくまで“成長の道しるべ”であることを忘れずに使いましょう。








まとめ

DCCは、評価のための制度ではなく、成長の可視化と組織の共通言語をつくるためのフレームワークです。育成と信頼の文化を育てるために、ぜひこの仕組みを活用していきましょう。